2024/10/30 降灰量把握実験の公開実験を行いました。
スマートインフラマネジメントシステムの構築
Smart Infrastructure Management System
サブ課題A
革新的な
建設生産プロセスの
構築
Research Topic 研究トピック
Project Overview プロジェクト概要
SIP「スマートインフラマネジメントシステムの構築」とは?
「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)(https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/index.html)」とは、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。令和5年度からは第3期として、14課題に取り組み、基礎研究から実用化・事業化、すなわち出口までを見据えて一気通貫で研究開発を推進しています。
この課題の一つ「スマートインフラマネジメントシステムの構築(https://www.pwri.go.jp/jpn/research/sip/index.html)」では、わが国の膨大なインフラ構造物・建築物の老朽化が進む中で、デジタル技術により、設計から施工、点検、補修まで一体的な管理を行い、持続可能で魅力的・強靭な国土・都市・地域づくりを推進するシステムを構築し、効率的なインフラマネジメントを実現するための技術開発・研究開発に取り組んでいます.この中のサブ課題の一つとして,このサイトでご紹介する「革新的な建設生産プロセスの構築」(通称:SIP-ICAS Project)があります.ここでは,このプロジェクトについて,ご紹介します.
- ICAS-Projectの背景
-
建設業界において,高齢化や人口減少による労働力不足の問題を解決するため,国土交通省の i-Construction などの政策が推進されています.これに伴い,大手ゼネコンを中心に,IRT(Information and Robotics Technology)を活用した建設現場の自動化に関する研究開発が行われています.しかしながら,これまでの研究開発は,大ゼネコンと関連する複数の企業がグループを形成して,閉じた状態で進められてきたため,新規企業の参入やイノベーションの促進が妨げられてきました.
一方,人にとって危険な場所における,生産性向上と安全確保にも課題が残っています.例えば,ダムの浚渫工事や火山噴火時の火口周囲の調査は,必要性が非常に高いにもかかわらず,人力作業が困難ですが,遠隔化や自動化が実現されておりません.さらに,トンネル工事においても,雷管や爆薬等の装填作業,および結線作業が未だ人力で行われています.
以上の問題解決を図るため,SIP ICAS Projectを立ち上げました.ICASとは,Innovative Construction And Surveillance technology with unmanned machinery の頭文字をとったものです.
- プロジェクトの目的
-
本プロジェクトの目的は,上記に示した状況の解決を目指し,建設現場の省人化・省力化,無人計測・施工による労働災害の低減と,遠隔・自動技術の研究開発の加速としました.これを達成するため,以下に記す 3つの研究開発テーマに関する研究開発を実施します.
研究開発テーマ
-
a-1
建設生産プロセス全体の最適化を実現する自動施工技術の開発
-
a-2
人力で実施困難な箇所のロボット等による無人自動計測・施工技術開発
-
a-3
トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化に係る研究開発
-
a-1
Overview of R&D theme 各研究開発テーマの概要
研究開発テーマ (a-1)
建設生産プロセス全体の最適化を実現する自動施工技術の開発
自動施工を実現するためのサブシステム間の情報流通インタフェースを共通化し,施工や段取りの計画から複数台建設ロボットの制御による自動施工を実現することが研究開発テーマ(a-1)の目標です.具体的には,以下の研究題目に取り組みます.
- 自動建機制御インタフェースを有する施工計画・管理システムの研究開発
- 自動建機に適した建設工事段取りの計画技術と自動施工の評価
- 複数台自動建機の動作管理を行う
Cyber-Physical System for RT (Robot Technology) の構築 - 自動建機のオープンな研究開発環境の構築
- 複数台建設機械による自動施工現場での試行
これらの各研究開発を並行して実施して,情報流通インタフェースの実装を行い,3年度終了までに,開発したサブシステムを統合します.統合した自動施工システムは,プロジェクト終了時までに 2 箇所の試験施工現場に適用して有用性を確認し,実用化への筋道をつけます.
研究開発テーマ (a-2)
人力で実施困難な箇所のロボット等による無人自動計測・施工技術開発
人の進入が困難な現場としてダム貯水池内や火山災害現場をとりあげ,それぞれに関連する計測や対策工の施工を無人化あるいは省力化するための技術開発することがテーマa-2の目標です.
- ダム堆砂対策における作業用建設機械操縦の遠隔化及び自動化
- ダム堆砂対策における水中掘削・浚渫の遠隔化
- ダム堤体付近の土砂を洪水時に下流に排出する技術
- ダムの土砂管理に関するモニタリング技術の高度化
(3次元堆砂測量技術,堆砂性状モニタリング技術,流砂量計測技術) - ドローンを用いた火山噴火時の降灰厚計測機器の実用化
- ドローンを用いた火山噴火時の降灰情報等に関する情報取得技術
- 火山噴火時の土石流発生検知手法の開発及び現地検証
- 火山噴火時の降灰の質調査手法の開発及び現地検証
以上の研究については,ダム貯水池または火山現場における実証試験を実施しつつ要素技術開発を並行して進め,プロジェクト 3 年度終了時点までに,ダム堆砂対策・モニタリングシステムならびに,火山観測システムに,これらの要素技術を統合します.統合した技術は,プロジェクト終了時までに,ダム貯水池ならびに,火山環境において,統合実証実験(シナリオ実験)を実施することで有用性を確認し,実用化への筋道をつけます.
研究開発テーマ (a-3)
トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化に係る研究開発
トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化実現を目指し,無線電子雷管システムの実用化ならびに,電子雷管の標準化を行うことが研究開発テーマ(a-3)の目標です.具体的には,以下に記す研究題目に取り組みます.
- 電子雷管用無線通信システムの開発
- 安全性の高い無線電子雷管の開発
- 機械装填用無線電子雷管の開発
- 施工安全性等に関する評価手法の検討
以上の要素技術開発について並行して進めて,プロジェクト 3 年度終了時点までに,実際のトンネル現場にて使用可能となる無線電子雷管を実現します.この雷管は,プロジェクト終了時までに,複数の施工会社が開発中のトンネル爆薬機械装填システムに適用可能となるように改良した後,模擬トンネルならびに,試行試験トンネルにおける発破試験を実施することで,提案するシステムの有用性を確認し,実用化への筋道をつけます.
イノベーション&社会還元
本プロジェクトでは,遠隔・自動技術の研究開発の加速を行うため,「自動施工を実現するための情報流通インタフェースの共通化」を実施します.これにより,自動施工のための,技術の相互利用や新規企業の参入が可能となると共に,ゼネコンのみならず,地場の建設会社もこのシステムを活用可能となると期待できます.
また,ロボット等による無人自動計測・施工技術開発や,トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化に係る研究開発を行います.これにより,人力での実施が困難な現場や危険な建設現場における,作業員の安全確保と生産性向上に貢献することができるため,労働力不足の解決に大きく寄与します.
Greeting ご挨拶
皆さま、こんにちは。永谷圭司と申します。この度、「SIPのスマートインフラマネジメントシステムの構築」という課題の中の「サブ課題A:革新的な建設生産プロセスの構築」の研究開発責任者を担当させていただくこととなりました。
近年,建設業界における担い手不足や労働人口の減少に伴い,ロボット技術やICT技術を用いた建設現場の自動化に対する期待が高まっています.そこで,本プロジェクトでは,ロボット技術やICT技術を活用し,「土木建設」や「人力で実施困難な箇所の自動計測ならびに施工」,「トンネル発破等の危険作業」を遠隔または自動で実施する技術開発を進めます.
これにあたり,『現場の多様性や対象環境の不確実性』という課題に直面します.同種類の対象物の工事や作業でも,それを取り巻く環境の違いによって,作業手順が大きく異なる場合が多々あります.つまり,工場などの屋内にある製造現場と比較すると,屋外(自然環境下)の建設現場における不確実性は,圧倒的に大きくなるのです.この問題をオペレータの知識や経験を駆使してこれまでは解決してきましたが,この種の作業を機械によって自動化する本取り組みは,実はとてもチャレンジングな試みです.
そこで,本プロジェクトでは,建設機械ならびにそれに関わるデバイスの自動化を目指すと共に,熟練者の経験が必要な高難易度の作業についても,遠隔操作を取り入れることで,現場の省人化(無人化)を実現します.さらに,開発した技術の社会実装を進めることで,現場作業員の安全を確保しつつ,生産性の向上を実現します.
サブ課題A 研究開発責任者
国立大学法人 東京大学 大学院 工学系研究科 特任教授
永谷 圭司
Members メンバー紹介
研究開発テーマ (a-1)
研究開発テーマ(a-1)リーダー
国立大学法人 東京大学 大学院工学系研究科
永谷 圭司
共同研究開発機関
-
- 主研究者
-
国立大学法人 九州大学
三谷 泰浩
- 主研究者
-
国立大学法人 九州大学
倉爪 亮
-
- 主研究者
-
国立研究開発法人 土木研究所
橋本 毅
- 主研究者
-
株式会社 フジタ
千葉 拓史
研究開発テーマ (a-2-1)
研究開発テーマ(a-2-1)リーダー
国立研究開発法人 土木研究所
水草 浩一
共同研究開発機関
-
- 主研究者
-
大成建設株式会社
青木 浩章
- 主研究者
-
一般財団法人 水源地環境センター
小野 雅人
-
- 主研究者
-
国立研究開発法人
農業・食品 産業技術総合研究機構向井 章恵
- 主研究者
-
国立大学法人 京都大学
小柴 孝太
-
- 主研究者
-
株式会社 セア・プラス
村上 桂山
- 主研究者
-
独立行政法人 水資源機構
安藤 昌文
-
- 主研究者
-
国立大学法人 信州大学
堤 大三
研究開発テーマ (a-2-2)
研究開発テーマ(a-2-2)リーダー
工学院大学
羽田 靖史
共同研究開発機関
-
- 主研究者
-
国際航業株式会社
島田 徹
- 主研究者
-
国立大学法人 北海道大学
厚井 高志
-
- 主研究者
-
国立大学法人 東京農工大学
白木 克繁
研究開発テーマ (a-3)
研究開発テーマ(a-3)リーダー
国立大学法人 電気通信大学
藤井 威生
共同研究開発機関
-
- 主研究者
-
日油株式会社
小倉 俊幸
- 主研究者
-
一般社団法人 日本建設機械施工協会
寺戸 秀和
-
- 主研究者
-
株式会社熊谷組
杉本 憲一
- 主研究者
-
大成建設株式会社
宮本 真吾
-
- 主研究者
-
前田建設工業株式会社
水谷 和彦